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1.負担付遺贈
負担付遺贈とは、財産を遺贈する代わりに、受遺者に何らかの義務を負担してもらう遺言の事です。なお、遺言は一方的な意思表示なので、受遺者の同意は不要です。
例えば、預貯金を遺贈する代わりに高齢である妻の扶養をしてもらう、不動産を遺贈する代わりに住宅ローンを支払ってもらうなどが挙げれらます。
負担付遺贈を受けた受遺者は、遺贈の価額を超えない限度で負担した義務の履行責任を負います。つまり、遺贈される財産の価額以上の範囲については、その限りではありません。遺贈は双方合意のもとに交わす契約とは違い、遺言者の一方的な意思表示なので、遺贈する財産の価額以上負担を受遺者に課すことはできません。
負担付遺贈は単なる遺贈と同様に、受遺者は遺言者が死亡した後いつでも遺贈を放棄することができます。放棄をすると、当然ですが財産を得ることができなくなり、義務を履行する責任もなくなります。
なお、受遺者が負担付遺贈の放棄をした場合は、負担の利益を得る者が自ら受遺者となることができるとされています。具体的には、「預貯金を遺贈する代わりに高齢である妻の扶養をしてもらう」の負担付遺贈を放棄した場合は、高齢の妻がその財産を受け取ることができるということです。
ペットの世話を条件に財産を引き継がせる負担付遺贈とは
遺言によって親族や友人等に対して、自身の財産を遺贈する代わりに、ペットの世話をする義務を負わせるという内容の負担付遺贈を行うことです。もっとも遺贈は、遺贈者の単独の意思表示のみによって行うものであるため、受遺者がその遺贈を放棄することができます。
したがって、ペットの飼い主が負担付遺贈の方法で第三者に対してペットの世話を任せる場合は、あらかじめ負担付増に承諾するか否かの意向を確認しておく必要があります。もし受遺者より遺贈の放棄がなされると、飼育者が不在となりそもそもの目的を達することができなくなります。
