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各種契約書・書類作成

  • 目次
  1. 売買契約書・・・不動産(家・マンション・土地)や動産(車・物品)を売買するとき
  2. 賃貸借契約書・・・マンションやアパートを賃貸するとき
  3. 金銭消費貸借契約書・・・銀行や知人からお金の貸し借りをするとき
  4. 離婚協議書・・・離婚条件をとりまとめ離婚後の約束事を明記します
  5. 内容証明郵便・・・相手へ重要な通知をしたという証明をするとき
  6. 告訴状・・・犯罪被害に遭ったことにより加害者の処罰を求めるとき
  7. 雇用契約書・・・雇用者と被雇用者で労働条件を確認した内容を明記します
  8. 業務委託契約書・・・請負業務や委任(準委任)業務を約束するとき

1.売買契約書

 売買契約書とは、売主と買主が売買契約を締結する際において、当事者間で合意した事項を書面にまとめたものです。
 民法によれば、売買契約は口頭による合意だけで成立します。つまり、売主と買主の意思の合致があれば売買契約が成立します。このことを諾成契約と呼びます。従って売買契約の成立には、必ずしも売買契約書が必要というものではありません。

 

 しかし、不動産売買契約のような高価で重要な財産取引の場合は、口約束ではなく慎重に契約条件などを記載し、そして契約内容を明らかにした売買契約書を作成することが重要になってきます。
 また、売買契約書の意義としては、契約の当事者間において取り決めた事項を書面にまとめておくことで、その後の紛争を予防することや、訴訟に発展した場合における証拠書類として提出することができます。
 それから売買契約書において、不可抗力などによって発生した損害を賠償する責任を負わない旨や、損害が発生した場合における損害賠償額の上限を定める旨を記載することで、契約において発生することが予見されるリスクを最小限にとどめることが可能となります。

 

売買契約書の種類
 売買契約書には、取引の内容によって多くの種類がありますが、代表的なものとしては以下のとおりです。

<不動産関連>
・不動産売買契約書
・土地売買契約書
・建物売買契約書
・土地建物売買契約書
・土地売買予約契約書
・区分所有建物売買契約書
・農地売買契約書
・借地権付土地(底地)売買契約書
・借地権付建物売買契約書
・抵当権付売買契約書

 

 

 

<商品関連>
・商品売買契約書
・物品売買契約書
・継続的商品取引基本契約書(企業間で継続的な売買の取引を行う際の売買契約書)

 

 

 

『売買契約書作成のポイント』

 売買契約書における各項目は、具体的かつ明確に規定してください。規定が曖昧だと、契約当事者間で条文の解釈に疑義が生じ、後に紛争になってしまう可能性があります。

 

 売買契約書に掲げる主な項目としては、下記のものが挙げられます。
@基本合意
A売買契約の目的物
B代金の支払い時期及びその方法
C目的物の引渡し
D所有権の移転時期
E検査  
F遅延損害金
G危険負担
H契約不適合責任
I契約解除条項
J損害賠償に関する事項
K協議事項
L合意管轄

 

 C目的物の引渡しは、目的物を引き渡す納入期日と場所を記載します。引き渡し時の運送費用や、引き渡し日までに保管費用等が発生する場合は、それらの費用をどちらが支払うか明記しておきます。

 

 D所有権の移転時期は、売主から買主に目的物の所有権が移る時期を決めます。一般的には、引き渡し時、もしくは決済時とすることが多いです。

 

 E検査は、買主が目的物である商品に対し検査を行います。また、その際における検査方法や検査にかかる期間を記載します。

 

 G危険負担は、自然災害等、当事者に責任がない事由による目的物の滅失した場合の取り決めを記載します。

 

 H契約不適合責任は、商品に不良や欠陥があった場合の対応について記載します。※2020年4月施行の改正後民法で定められてた制度です

 

契約不適合責任について・・・

 契約不適合責任とは、購入した目的物(商品や原材料など)について、納品時の検査を終えた後になって、品質不良や数量不足、あるいは品物違い等が判明した場合に、売主が買主に対して補償をする責任のことです。2020年4月の民法改正以前は、瑕疵担保責任と呼ばれていました。

 

 旧民法での瑕疵担保責任は、契約の目的物に隠れた瑕疵があった場合に、買主に契約解除や損害賠償請求が認められていました。一方で契約不適合責任は、買主が請求できる権利に契約解除や損害賠償請求に加えて、追完請求と代金減額請求が加わりました。

 

 また、最も大きな変更点としては、瑕疵担保責任は適応できる対象が隠れた瑕疵(故意過失がない状態)に限定されていたのに対し、契約不適合責任においては契約に適合しない内容全てに対象となる範囲が拡大されました。

 

 つまり、買主の善意無過失が関係なくなりました。買主側が事前に不備を知っていた場合であっても、契約書に定める記載事項と異なれば契約不適合責任を売主に問うことができるということです。

 

まとめ

 売買契約書はトラブルを未然に防ぐため必ず作成するようにしましょう。なぜなら、トラブルが発生してしまった場合でもあらゆるリスクを最小限にとどめるという重要な役割があります。
 また、売買契約書の内容(条件)については、当事者間の解釈に疑義が生じないためにも曖昧な表現はできるだけ避け、明確な内容(条件)で記載するようにしてください。引き渡しの場所や期日、所有権が移転する時期、支払いの方法と時期など、トラブルが起こりやすい項目につていは特に注意が必要となります。

 


2.賃貸借契約書

 賃貸借契約書とは、賃貸物件を借りる際に借主と貸主が締結する契約書のことです。2部作成し、借主、貸主それぞれが1部ずつ保管します。
 なお、国土交通省は、賃貸借契約書の雛形となる「賃貸住宅標準契約書」を公開しています。契約をめぐる紛争防止や、借主の居住の安定、貸主の経営の合理化などが目的です。

 

 ここでは、貸主が自分で賃貸借契約書を作る場合に、注意すべき内容やポイントを解説していきます。貸主は、管理業務全般を専門の管理会社に委託しているケースが多いですが、賃貸借契約書の作成についてもまた、管理業務の一環としてすべてお任せしているのではないでしょうか。

 

 賃貸借契約書は、そもそも私文書であるため貸主が自分で作成しても何も問題はありません。重要なのはその中身であり、記載内容に不備や不足があった場合に、後に借主さんとのトラブルに発展しかねません。また、完成した賃貸借契約書の内容をきちんと把握していなければ、認識のズレや誤解、さらには貸主にとって不利な内容となってしまっているかもしれません。

 

 

 

「賃貸借契約書作成のポイント」

 

 賃貸借契約書は、一つの雛形通りに作成すれば良いというものではなく、それぞれの物件に合わせた内容や特約を盛り込むことが必要となります。

 

 賃貸借契約書に記載すべき事項として下記のものが挙げられます。
@当事者
A物件の表示
B使用目的
C契約期間と契約の更新
D賃料
E賃料の改訂
F保証金
G遅延損害金
H解約
I禁止行為
J原状回復義務、損害賠償義務

 

 上記の基本事項を踏まえたうえで、それぞれの物件に合わせた特約を盛り込んでください。

 

 F保証金とJ原状回復義務、損害賠償義務は、後にトラブル等に発展するリスクが高いため、具体的かつ明瞭に取り決めることが重要です。修繕や原状回復については、一般的には、日常的な使用(経年劣化や自然摩耗)によって出た修繕は貸主が負担し、借主の故意過失によって生じた修繕は、借主が負担します。

 

 I禁止行為は、入居者間のトラブル防止や物件自体の価値低下に繋がる恐れを防ぐため、詳細な設定を行ってください。例えば、無断転貸借の禁止、ペット飼育の可否、夜間騒音(音楽、楽器等)、共用部や駐車場(駐輪場)の使用方法などについては、必ず明記するようにしましょう。

 

 あとは、反社会的勢力を排除する条項を定めておくことです。もし、入居者が違反した場合には即時に賃貸借契約を解除できるようにしてください。反社会的勢力の排除は行政も推進しており、不動産流通4団体である、(社)全国宅地建物取引業協会連合会、(社)全日本不動産協会、(社)不動産流通経営協会及び(社)日本住宅建設産業協会も、暴力団が住宅関連の契約書における暴力団の排除項目には積極的な姿勢であり、警察庁もこれに支援しています。

 

重要事項説明書と賃貸借契約書の違いは何ですか?

 重要事項説明書とは、借主に対し貸主側の宅地建物取引士が、対象賃貸物件の詳細な状態・条件等を事前に説明するものです。不動産に関する知識の無い一般の借主が、内容をよく理解できないまま契約し、後からトラブルになるのを防ぐための書類となります。

 

 書類の内容自体は賃貸借契約書に記載されているものと重複する事項が多々ありますが、重要事項説明書と賃貸借契約書は全くの別物です。重要事項説明書にも署名捺印をしますが、それはあくまでも重要事項の説明を受けたことを証明するものです。

 

 重要事項説明書は、賃貸借契約書を締結するための前工程として、貸主側の宅地建物取引士である者が、賃貸にあたっての重要事項を書面と口頭で、契約前に借主にきちんと説明することが義務付けられているものとなります。その行為を経てはじめて、実際の契約書の手続きに移るという流れになります。

 

まとめ

 賃貸借契約書は自分で作成することができます。自分で作成することで得られるメリットと、反対にリスクを伴うデメリットもあります。

 

 メリットとしては、作成料としてのコストが発生しないことと、自分で作成するが故に納得した内容で、かつ理解を深めることができ賃貸オーナーとして経験値を高められることができます。一方デメリットとしては、手間がかかることと、記載内容にミスがあったり記載漏れがあった場合には、貸主にとって不利なるケースや借主とトラブルになることも考えられます。

 

 以上のように、メリットとデメリットを考えたうえで賃貸借契約書を自分で作成するかどうか、検討してみてください。いずれにしても、賃貸借契約書の内容をしっかりと把握する必要はあります。借主に対してすべてを正確に説明できるくらいにまで理解を深めることが大切ではないでしょうか。

 


3.金銭消費貸借契約書

 金銭消費貸借契約書とは、銀行や個人などから返済することを約束して、お金を使うために借りる契約のときに、その契約自体が存在することを証明し、また契約の内容を確認するための書面として作成される契約書のことです。

 

 金銭消費貸借契約書とは別に借用書というものがあります。どちらの書面も紛争の際には証拠となりうるのですが、金銭消費貸借契約書は、借主・貸主それぞれの手元に置くために、正本を2通又は正副2通を作成することが多いのに対し、借用書は借主が記名押印して貸主へ差し入れる事が多いので1通しか作成されない場合が多いという違いがあります。

 

 身近な親族や親しい友人などの個人間でお金の貸し借りをする場合は、金銭消費貸借契約書などの書面を作成しないことが多いです。その場合に注意すべきこととして、親族間からの貸し借りでは贈与とみなされ贈与税が発生する可能性があり、また友人間での貸し借りでは後にトラブルになることもあります。

 

 しかし、金銭消費貸借契約書のような正式な書面があれば、契約の存在や内容を容易に確認することができます。書面で証拠を残すことは、借主・貸主の双方にとって大事なことです。お金の貸し借りが極端に少額でない限りは、金銭消費貸借契約書を作成するようにしておきましょう。

 

 

 

「金銭消費貸借契約書作成のポイント」

 

 金銭消費貸借契約書を作成するときは、事前に最低限確認すべきことがあります、つまり金銭を貸し借りするときの最低限の条件です。

 

 金銭消費貸借契約書に記載すべき事項として下記のものが挙げられます。
@貸付元金の額
A貸付日
B貸付実行の方法
C返済期日
D返済方法
E利息の定め(必須事項ではない)
F遅延損害金の定め(必須事項ではない)
G期限の利益喪失事由(必須事項ではない)
H契約書作成日付
I貸主及び借主の住所・氏名・押印
J保証人・連帯保証人(必須事項ではない)

 

 E利息の定めは、企業間個人間を問わず、利息制限法の範囲内であれば請求することができます。仮に利息についての定めがない場合でも、民法第404条の定めにより年5%の利息を請求することができます。また、商人間の場合には、商法に従って年6%となります。

 

 もし、法定利率年5%(もしくは商人間では6%)以上の利息を付す契約の場合は、利息割合の記載が必須となります。利息制限法の上限利息は次の通りです。
・貸した金額が10万円未満なら年20%
・貸した金額が10万円以上100万円未満なら年18%
・貸した金額が100万円以上なら年15%

 

 F遅延損害金の定めは、約束した日にお金を返さなかった場合の罰金のようなものです。利息と同じように年率で表します。遅延損害金の利率については、約束した貸付利率の1.46倍を超えないように決めなければなりません。1.46倍を超えなければ貸付利率と同額であっても問題はありません。

 

 G期限の利益喪失事由は、返済が分割の契約でも、また返済時期の前であっても、一括で返済しなければならなくなる事柄のことです。例えば相手が分割での返済を怠った、破産・民事再生の申し立てがあったとき、などを記載しておきます。

 

公正証書による金銭消費貸借契約書について

 金銭消費貸借契約書を作成したからといって、確実に債権回収ができるわけではありません。貸したお金が返ってこない、または返してくれない場合には、裁判等の手続きを経て債務名義というものを取得して、強制執行をすることで債務者の債権を差し押さえていかなければなりません。

 

 そういった不測の事態を避けるために、公正証書が有効となります。金銭消費貸借契約書を公正証書にしておくことで、債務者が返済をしなかった場合は、裁判等を経ずに強制執行をすることができます。お金の貸し借りが高額であれば、この公正証書による作成をおすすめします。

 

 公正証書による金銭消費貸借契約書作成のメリットは、以下の3つです。
@債務者の返済が滞った場合、債務者の資産を差し押さえることができる。
A公証役場という公的機関で、公証人というプロが作成に携わるため、裁判等と同等の強い効力を備えます。
B債務者への返済に対する意識付けができ、心理的効果が得られる。

 

上記の中でも、やはり@に対するメリットが大きいといえるでしょう。

 

まとめ

 お金の貸し借りにはリスクが伴います。金額が大きければより慎重に対応しなければなりません。貸したお金が約束通り返済されない、または返済額が不当に多いなどといったリスクを軽減するためにも、適切な金銭消費貸借契約書を作成しましょう。借主・貸主の双方が取り決め事項の内容をしっかりと把握し、後のトラブルに発展しないように対処することが重要です。

 


4.離婚協議書

 離婚協議書とは、夫婦が話し合って合意した離婚条件を明らかにするための契約書です。後のトラブルを防ぐために財産分与や慰謝料、さらには養育費などの事項について取り決める必要があります。適正に作成された離婚協議書には一定の法的効力が備わります。

 

 離婚協議書を作成するタイミングとしては、離婚届を提出する前が望ましいです。離婚時に口頭で合意していた内容でも、一旦離婚してしまうと相手の気持ちが変わることもあります。そうなっては、離婚時の合意どおりの内容で離婚協議書を作成することが難しくなります。

 

 

 

「離婚協議書作成のポイント」

 

 まずは相手とじっくり話し合って合意します。そしてその内容について、必要な離婚条件をもれなく記載していきます。

 

離婚協議書に記載すべき事項として下記のものが挙げられます。
@財産分与
A慰謝料
B年金分割
C親権
D養育費
E面会交流

 

 @〜Bはお金についてです。離婚において特にトラブルになりやすいお金の問題は、必ず離婚協議書に記載すべき内容となります。C〜Eは子供についてです。こちらも重要な取り決め事項となりますので、夫婦間に子供がいる場合は必ず記載してください。

 

 @財産分与は、夫婦が婚姻中に築いた財産を分け合うことです。具体的には、財産分与の対象となる財産、財産分与割合、財産の価値を鑑定する方法、動産・不動産を処分せず分割する場合どちらが何を持つのか、負の資産の清算について、いつまでに財産分与の支払いをするか、一括で支払うか複数回で支払うか、などを記載します。
 財産分与の割合は、一般的には半分ずつの割合で財産を分けることがありますが、どちらかに落ち度があった場合や、財産形成への貢献度合いに大きな差があった場合などは、協議のうえ割合を変更したりします。

 

 A慰謝料は、不倫やDVなどのような不法行為によって精神的苦痛を受けた場合に、損害賠償金として支払われるお金のことです。具体的には、慰謝料を支払う理由、支払い金額、支払期日、一括で支払うか複数回で支払うか、などを記載します。

 

 B年金分割は、年金制度の2階部分にあたる厚生年金等の支払い実績を、離婚する夫婦の間で分け合う制度です。分かりやすく言うと、専業主婦の場合は、夫が支払った保険料の一部(最大で半分まで)を妻が払ったものとして、将来の年金額が計算されることになります。具体的には、年金分割をするか否か、年金分割をする場合にはその分割割合(通常は0.5)、などを記載します。
 年金分割は、離婚成立後に年金事務所に行って手続きを行う必要があります。離婚前に分割割合を決めていても、離婚後に手続きを行わなければ厚生年金の分割は行われません。そのため、離婚前に合意した分割割合を離婚協議書に記載して、手続き漏れのないように注意してください。

 

 C親権は、夫婦間に未成年の子供がいる場合は、どちらが親権者になるかを決めることです。具体的には、親権者がどちらか、複数人の子供がいる場合はそれぞれの親権者、養育方針(必要であれば)、などを記載します。また、通常は子供の名前の前に、長男・長女・次男・次女等の続柄を記載します。

 

 D養育費は、子供を育てるために必要な費用のことです。養育費には、衣食住に必要な経費や教育費、医療費、最低限度の分化費、娯楽費、交通費など子供が自立するまでにかかるすべての費用が含まれます。具体的には、夫婦のうちどちらがどちらに支払うのか、支払い方法(月々、一括など)、金額、いつからいつまで支払うか、などを記載します。
 金額の決め方が分からない場合は、裁判所のホームページにある養育費算定表が目安になります。これは養育費を裁判で争う場合にも参考にされるもので、離婚協議の際にも養育費決定の根拠となり得るものです。

 

 E面会交流は、離婚や別居で子供と離れて暮らす父親や母親が、定期的に子供と会って交流することです。具体的には、面会の頻度、1回あたりの面会時間、日程の決め方、子供の受け渡し方法、連絡方法、行事への参加、子供へのプレゼントの可否、などを記載します。

 

公正証書による離婚協議書について

 離婚協議書を作成したら、それを公正証書(離婚公正証書)にすることができます。公正証書とは、公証人が公文書として作成する書面で、当事者が作成する離婚協議書よりも強い法的効果が認められます。公正証書に強制執行認諾条項をつけておくと強制執行を行うことが可能となります。

 

 慰謝料や養育費の支払いなど金銭の支払いを約束した場合で、もし相手の支払いが滞った場合は、通常はまず裁判を起こして判決等を得なければ強制執行をすることはできません。しかし、公正証書を作成しておけば調停や訴訟をしなくても、すぐに差し押さえができるようになります。

 

 養育費は10年以上にわたり支払いを受けるケースもあり、また慰謝料や財産分与を分割払いにするケースもあります。そのような場合には、相手が途中で支払いを怠った場合などに備えて、予防策として公正証書化しておくとよいでしょう。

 

まとめ

 協議離婚をする場合は、後のトラブル防止のため口約束だけではなく、離婚協議書として書面でを残しておくことが重要です。注意点としては、離婚届の提出前に離婚協議書を作成すること、法律上無効となる内容にならないこと、記載内容に不足や誤りがないかを確認することです。また、金銭に関する約束事が含まれる場合は、公正証書にすることも考えておきましょう。

 


5.内容証明郵便

 内容証明郵便とは、日本郵便が「いつ、誰が、誰に、どのような内容を送ったのか」を証明してくれるサービスのことです。具体的には、差出人が送った書類の謄本を郵便局が保管するという制度となります。文書の内容が証明されるので、後に訴訟等が行われた場合は、意思表示の日付や内容等を立証するための立証方法として用いられます。

 

 一方普通郵便においては、文書の内容は第三者からは分かりませんので、文書を発送したことや内容は誰も証明することができません。書留郵便であれば、発送から配達まで証明してくれますが、文書の内容までは証明してくれません。

 

 ただし、この内容証明郵便は、文書の内容が法的に正当であることまでを証明するものではありません。つまり、日本郵便が文書内容を細かくチェックして、文書の正当性までを保証するものではなく、あくまで差出人が特定の書類を特定の相手に、確実に送付したことの証拠を残すサービスと捉えて下さい。

 

 

 

「内容証明郵便作成のポイント」

 

 内容証明郵便は記載できる文字の種類や書式が制限されていますので、記載時の注意すべき事項を下記に挙げておきます。
@文字数の制限
A使用できる文字の制限
B差出人及び受取人の住所氏名を記載
C複数枚に及べば割り印が必要
D同じ書類を3通作成
E訂正の仕方

 

 @文字数の制限は、縦書き=「1行20文字以内、1枚26行以内」。横書き=「1行20文字以内、1枚26行以内」、「1行13字以内、1枚40行以内」、「1行26字以内、1枚20行以内」となります。

 

 A使用できる文字の制限は、ひらがな・カタカナ・漢字・数字で、英字は固有名詞に限り可です。また全角半角の区別はなしで、その他+×%=なども使用可です。記号は1文字と数えますが、括弧は2つで1文字と数えます。

 

 B差出人及び受取人の住所氏名を記載は、差出人として自分の住所を記載したくない場合は、行政書士等を通して作成すれば、作成代理人である行政書士等の事務所住所を記載して作成することもできます。

 

 C複数枚に及べば割り印が必要は、2枚以上に及んだときは、ホッチキスやのりで綴じ、そのつなぎ目に差出人の割り印を押します。

 

 D同じ書類を3通作成は、1通目は本人控え、2通目は相手用(郵便局で審査後、局員立会いのもと封筒に入れます)、3通目は郵便局保管用となります。

 

 E訂正の仕方は、訂正する箇所を2本線で消して、正しい文字を書きます。そして、訂正箇所に近い欄外に、「〇字削除、○字加入」と書き、差出人の印を押します。

 

内容証明郵便が出されるケース

 

 内容証明郵便は様々なケースで使われますが、代表的なものとしては、消滅時効の停止、時効の援用、契約取り消し、契約解除、契約無効の通知、相殺の通知、未払い賃金の請求、売掛金等の金銭請求、返済期限の定めのない債務の支払い請求、損害賠償請求、慰謝料請求、債権譲渡を債務者に通知、クーリングオフの通知、賃貸借契約の更新拒絶、遺留分減殺請求、債権放棄などです。

 

 内容証明郵便を送る時には、配達証明をつけるのが一般的です。内容証明は、文書が相手に到達したことについて証明するものではありません。内容証明郵便が相手方に到達したことを証明するには、この配達証明が有効となります。後に訴訟等になることも想定して、配達証明はつけておくべきです。

 

 内容証明郵便には、従来からある紙ベースの他に、電子内容証明郵便(e内容証明)という電子手続きサービスがあります。紙ベースであれば、郵便局に持参する必要がありますが、この電子内容証明(e内容証明)であれば、作成から差し出しまで家の中でパソコン一つで行うことができます。

 

まとめ

 内容証明郵便は、その文書自体には法的拘束力はありません。言い換えれば、受取人側に従うべき法律上の義務を生じさせる力はありません。内容証明郵便は、あくまで特定の文書を特定の相手に送付した事実を証明するというものです。しかし内容証明郵便は、訴訟手続きの準備行為として利用されることが多いため、受取人への心理的圧迫という意味では一定程度効果があります。

 

 内容証明郵便を作成する際は、記載要件にきちんとあてはまっているか確認し、不備や不足がないように作成してください。また、自分で作成する場合の注意点として、私情が交じることにより内容証明郵便に書かれた内容が必要以上に威圧的であったり、実現不可能な要求であったりすると、脅迫罪や恐喝罪で逆に賠償金を請求されることもありますので、文書作成には十分注意してください。

 


6.告訴状

 告訴状とは、犯罪被害者などの告訴権者が、捜査機関へ犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示を書面にしたものです。捜査機関は、告訴状が提出されると検察官へ書類を送付したり、起訴したか否か結果を通知する義務が生じます。

 

 告訴権者は、犯罪被害者本人が原則となりますが、未成年の場合にはその法定代理人が告訴権者となります。その他、被害者が死亡している場合には、その配偶者や一定の親族なども告訴が可能となっています。

 

 告訴状とは別に被害届というものがあります。これは犯罪の被害にあったとされる者が、被害の事実を警察等の捜査機関に申告する届け出のことです。あくまでも被害にあったという事実を届け出る報告で、捜査の実施や加害者への処罰を求める意思表示は含まれません。また、告訴の場合と異なり、受理をしても捜査機関には捜査をする義務はありません。

 

 告訴状に似たものとして告発状というものがあります。これは、告訴権者と犯人以外の第三者が犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示のことです。いうまでもなく、犯人自らが申告することは自首となります。

 

 告訴も告発も、捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示であり、捜査の端緒となる点では同じですが、告訴の主体は被害者または法定代理人等、刑事訴訟法に定める告訴権者であるのに対し、告発の主体は告訴権者及び犯人以外の第三者となります。

 

 告訴と告発の大きな違いは、親告罪の場合には告訴が訴訟条件となることです。親告罪の場合には、たとえ犯罪構成要件を満たしていても、告訴権者の告訴がない限り犯人を訴追できません。親告罪とは、@被害者の意向を尊重しているもの、A罪質が軽微で被害者の意向如何では、特に国家が犯罪として取り上げる必要がないもの、B家族間の問題で、国家権力の介入を適当としないものを指します。

 

 

 

「告訴状作成のポイント」

 

 告訴状の様式については法的な定めはありません。一般的には、捜査機関や裁判所の文書の例に準じて、A4サイズ縦置きの横書きで作成します。

 

 告訴状に記載すべき事項として下記のものが挙げられます。
@タイトル
A提出年月日
B提出先
C告訴人
D被告訴人
E代理人(作成者)
F告訴の趣旨
G告訴事実
H告訴に至る経緯
I証拠資料(立証方法)
J添付書類

 

 A提出年月日は、ひとまず空欄で提出します。告訴状は捜査機関に持参してもすぐに受理されるケースは少ないので、実際に受理される段階で記入するのが慣例となっています。

 

 B提出先は、警察署長・検察官・労働基準監督署長など、提出する捜査機関の司法警察員を記載します。

 

 C告訴人は、住所、氏名、連絡先を記載します。なお、告訴人は直筆で署名捺印をしなければなりません。

 

 D被告訴人は、被告訴人の住所、氏名等を記載します。もし不明であれば「不詳」と記載することができますが、可能な限り被告訴人を特定できる事項を記載するようにしてください。

 

 E代理人(作成者)は、代理人による告訴、または文書の作成の場合には、代理人(作成者)の住所、氏名、連絡先などを記載して代理人(作成者)が押印します。

 

 F告訴の趣旨は、被告訴人の所為が何法の何条の何罪にあたると考え、該当する罪名・罪状を明示したうえで、被告訴人を厳重に処罰してほしい旨を記載します。

 

 G告訴事実は、犯罪日時、場所、犯人が行った具体的な行為等を記載します。また犯罪に至る経緯や背景、事情経過、動機、などについても必要に応じて詳細を記載します。

 

告訴状は受理されにくい・・・

 

 法律上正しく告訴された事件については、捜査機関は原則受理しなければなりません。しかし実際には、告訴状は受理されにくいという実情があります。理由としては、受理することで捜査義務が生じ捜査機関の負担が大きいこと、捜査機関による人手不足があること、民事訴訟を有利にするために利用され捜査が無駄になるケースがあること、などが考えられます。

 

 告訴自体に整合性がない場合はともかく、不当に民事不介入を理由付けにしたり、管轄違いを主張したり、被害届に切り替えて受理しようとしたりと、違法または不当な取り扱いを受けることがあるのも事実です。いかに警察に受理してもらうかという点については、処罰を求める意思が強いことや十分な証拠が整っていることなどが告訴を受理してもらうための重要な要素となります。

 

 なお、警察署や労働基準監督署、検察庁などの司法警察職員へ提出する告訴状の作成を業として報酬を得て行うことが出来るのは、弁護士・行政書士・司法書士の3者になります。弁護士は、法律問題に関して管轄の制限が一切ありませんので、すべてを業として行うことが出来ます(弁護士法第3条)。

 

 行政書士は、行政書士法第1条の2第1項で「官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること」が業務範囲であるため、官公署である警察署や労働基準監督署などに提出する告訴状・告発状の作成を業務として行うことが出来ます。

 

 司法書士は、司法書士法第3条4号で「裁判所若しくは検察庁に提出する書類を作成すること」が明文で規定されていますので、検察庁に提出する告訴状・告発状の作成を業務として行うことが出来ます。

 

まとめ

 告訴とは、告訴権者が警察等の捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示をいいます。そして告訴状とは、警察等の捜査機関に対して、犯罪被害者本人若しくはその他の告訴権者が正式に捜査の要請を求め、被疑者の処罰を求める申告書面のことです。
 告訴状を受理してもらうためには、告訴人が被疑者に対して処罰を求める強い意思表示の存在と、しっかりと証拠資料を揃えて正確な事実関係の証明を示して、被疑者の犯罪を立証することが重要となります。

 


7.雇用契約書

 雇用契約書とは、労働者を雇用する時に、事業主と労働者の間で交わす契約書です。2部作成し署名・捺印したあと、雇用者と労働者がそれぞれ保管します。具体的には、賃金や労働時間、就業場所、休日など、労働条件などを雇用者と被雇用者双方が確認し、労使契約を取り交わす契約書となります。

 

 ただし、雇用契約は書面での締結義務はなく、口頭でのやりとりでも雇用契約が成立します。雇用契約書は民法に則った手続きの契約のため、諾成契約が基本となります。つまり、雇用契約書は法律上の作成義務がありません。

 

 しかし、雇用契約を結ぶ際に労働基準法という法律では、労働者に一定の労働条件を明示した書面の交付が義務付けられています。労働基準法では、立場の弱い労働者を保護するため、雇用契約が成立したら主要な労働条件を労働者に明示することを雇用者に要求しています。この明示のために用いられる書面が労働条件通知書と呼ばれるものです。

 

 雇用契約書と労働条件通知書についての大きな違いは、雇用契約書は双方の署名捺印を必要としますが、法律上の作成義務はなく、記載事項も決まっているわけではありません。一方労働条件通知書は、双方の署名捺印は不要ですが、法律上の作成義務があり、記載事項も法律で定められています。

 

 この「雇用契約書」と「労働条件通知書」は、結局のところ書面に書かれている内容はほとんど同じようなものになります。雇用契約は作成が義務付けられていないといっても、書面で残しておくことがやはりベストです。労働条件通知書は法律で作成が義務付けられています。そこで、この2つの書面を1つにすることができれば、最も効率よく雇用契約を結ぶことができます。

 

 それが、労働条件通知書兼雇用契約書です。この書面を作成することで、法律で定められた記載事項を記すことができ、雇用契約自体の存在を明確に示すことができます。それでは、労働条件通知書兼雇用契約書に記載すべき内容を見ていきます。

 

 

 

「労働条件通知書兼雇用契約書」作成のポイント」

 

 労働条件通知書兼雇用契約書には、必ず明示しなければならない絶対的明示事項と、企業の規則に沿って明示する相対的明示事項がります。ここでは、絶対的事項を下記に挙げておきます。
@労働契約期間
A就業場所
B業務内容
C始業時刻と終業時刻
D所定労働時間を超える労働の有無
E休憩時間
F交代制勤務(交代制勤務が発生する場合)
G休日・休暇
H賃金の計算方法・支払日
I退職

 

 @労働契約期間は、契約期間のない正社員は「なし」と記載し、契約期間が存在する場合にはその期間を記載します。

 

 D所定労働時間を超える労働の有無は、残業の有無を記載します。

 

 E休憩時間は、所定労働時間に対する具体的な休憩時間を記載します。労働基準法では、所定労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は、45分の休憩時間が必要となり、また所定労働時間が8時間を超える場合は、1時間の休憩が必要となります。

 

 G休日・休暇は、就業規則に従って休日を記載します。労働基準法では1週間に1日以上、4週間に4日以上休日を与えることが定められています。毎週特定の曜日である必要はなく、シフト制の休日でも可です。休暇については、年次有給休暇、育児・介護休暇、その他会社で定める休暇などを記載します。

 

 I退職は、定年退職の年齢や雇用継続制度の有無、自己都合退職の場合は何日前までに申し出が必要か、また解雇になる事由などの退職手続きに関する内容を記載します。

 

なお、パートタイムやアルバイトなどの短時間労働者については、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、雇用管理についての相談窓口の担当部署名及び担当者名を明示する必要があります。

 

相対的明示事項とは・・・
 相対的明示事項については、会社で以下のような該当する制度などを設けている場合は、記載する必要があります。
・退職手当に関する事項(退職手当制度がある場合、支払日と計算方法)
・臨時に支払われる賃金、賞与、精勤手当、奨励加給、能率手当について
・最低賃金額
・労働者に負担させる食費、作業用品など
・安全衛生に関する事項
・職業訓練制度
・災害補償、業務外の傷病扶助制度
・表彰や制裁の制度
・休職に関する事項

 

まとめ

 雇用契約書の作成は法的には不要ですが、トラブル防止のため作成することが望ましいです。そこで、法的に作成が必要となっている労働条件通知書に雇用契約書を兼ねる形で、「労働条件通知書兼雇用契約書」として作成することが合理的といえるでしょう。「労働条件通知書兼雇用契約書」は、必ず絶対的明示事項を記載しなければなりません。さらに、該当する制度が存在する場合には、相対的明示事項の記載も必須となります。

 


8.業務委託契約書

 業務委託契約書とは、業務を委託する側と業務を受託する側が締結する契約書です。具体的には、業務の委託者が受託者に対して何らかの業務を委託し、受託者は委託者から委託された業務を遂行し、対価(報酬)を受け取る取引の際に締結される契約書です。

 

 業務委託契約書には、委託する業務内容や条件、問題が発生した場合の対処方法などを記載します。この形態で契約を結んだ場合、委託者と受託者は対等な関係となり、受託者は自己の責任と裁量をもって業務を遂行することになります。

 

 なお、口頭やメール等で業務内容と条件などを決めた場合でも、委託者と受託者が双方合意をしていれば業務委託契約は成立します。これもやはり、民法の三大原則の1つである私的自治の原則に基づくものであり、契約自由の原則によるものです。

 

 業務委託契約書は特に法律に定められたものではなく、その法的性質は、主に民法の請負か委任もしくは準委任のいずれか、またはこれらの混在したものとなります。また、労働契約や労働派遣契約のような、使用者と労働者という関係からなる業務形態とは異なります。

 

業務委託は上記に述べた通り、大きく分けて「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つがあります。「請負契約」は、受託者による成果物の納品を目的とし、成果物に対して報酬が支払われます。 「委任契約」は、受託者が法律行為を遂行することに対して報酬が支払われます。 「準委任契約」は、法律以外の分野の業務を遂行することに対して報酬が支払われます。

 

<請負><委任>の違いは、<請負>は当事者の一方がある仕事の完成を約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを内容とする契約のことで、<委任>は当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手がこれを行うことを内容とする契約のことです。

 

 なお、法律行為以外の事務を委託することを準委任といい、委任の規定が準用されます。業務委託契約書で委託される業務の多くは、法律行為以外の事務に当たります。この準委任契約の具体例としては、医師やITエンジニアによる知識や技能や治療の提供、その他アドバイスを行うようなコンサルタントとの契約などが挙げられます。一方、委任契約の代表的な具体例としては、弁護士との契約が挙げられます。

 

 

 

「業務委託契約書」作成のポイント」

 

 事後のトラブルを避けるため、業務委託契約書には委託内容を明確に記載する必要があります。具体的な記載内容は業務によって異なりますが、ここでは記載すべき基本項目を挙げておきます。
@委託業務内容
A委託料(報酬)
B支払い条件・支払い時期
C成果物の権利
D再委託
E秘密保持
F禁止事項
G契約解除
H契約期間
I損害賠償
J反社会的勢力の排除
K管轄裁判所

 

 A委託料(報酬)は、業務を委託する際の報酬金額を記載します。委任契約で成功報酬を定める場合は、算定方式も明記します。

 

 C成果物の権利は、委託された業務の過程で発生した、あるいは成果物そのものの著作権やその他の知的財産権が、委託者と受託者のどちらに帰属するかを定めます。

 

 D再委託は、受託者が委託された業務の全部、または一部を第三者に再委託することを認めるか否か、また、認める場合はその条件を記載します。

 

 H契約期間は、主に委任契約または準委任契約の場合に業務委託の契約期間を記載します。自動更新の有無についても明記します。

 

 J反社会的勢力の排除は、委託者及び受託者が反社会的勢力に属している場合や、反社会的勢力であることを騙った場合に相手方は契約を解除・解約できる旨を記載します。

 

 K管轄裁判所は、業務委託契約に関してトラブルが発生し裁判になった場合、どこの裁判所で裁判を行うか管轄裁判所を記載します。

 

偽装請負について・・・

 業務委託契約は、雇用契約とも異なります。雇用契約とは、正社員や契約社員、アルバイトなど、労働者が使用者に対して労働に従事することを約し、これに対して報酬を支払う契約です。雇用契約の場合、企業が労働者に対して業務を行う時間や場所を指定したり、業務の進め方を指示したりするといった指揮命令関係にあります。また、雇用契約には、労働基準法が適用されます。

 

 一方、業務委託契約では、委託者と受託者のあいだに指揮命令関係がないため、目的の達成に必要な条件として契約上定められている場合を除き、業務を行う時間や場所などを指示することはできません。なお、業務委託の受託者には、原則として労働基準法は適用されません。

 

 業務委託では、形式上だけ業務委託契約にして、実際には雇用関係として働かせる「偽装請負」が問題になっています。偽装請負は、雇用で発生する法的義務から逃れる違法行為です。そのため、偽装請負に当てはまるような契約内容になっていないか、契約書を作成する際には十分注意する必要があります。

 

まとめ

 業務委託契約書には、成果物や支払いなどに関する重要な規定が含まれているため、内容が曖昧なまま契約締結すると、後にトラブルの原因となることもあります。特に委託内容と委託料、そして支払い条件は明確に記載しておきましょう。
 また、委託者側と受託者側のどちらであっても、自らが著しく不利になるような契約内容になっていないか、詳細な内容を慎重に確認したうえで業務委託契約書を締結してください。そして、委託する業務内容は実情に沿った内容を反映しなければなりません。


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